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「コペンハーゲン漂流記 その1 「デンマークってどんなとこ?」

みなさん、僕のことを覚えているでしょうか。みなさんに送り出してもらっての出発からはや一ヶ月。なんとか生きています。そろそろ体育祭やらなんやらで僕のことを忘れ始めていると思いますが、そんなことは気にせず留学先での暮らしや考えたことについて書いてみたいと思います。

 書きたいことは色々ありますが、僕の留学先がデンマークとかいう謎の国なのでそこから紹介していきます。そもそもデンマークがどこにあるかというと、ドイツの北です。いいですか。僕が留学しているのはスウェーデンでもノルウェーでもフィンランドでもなく「デンマーク」ですよ。面白いことに、ちゃんと大陸につながった半島を持っているくせに首都は半島の右側にある島に位置しています。それは、デンマークという国がバルト海交易や他のスカンジナビアの国との関係性から発展してきたことによります(たぶん)。

首都の名前はコペンハーゲン。デンマーク語(そういう言語も世の中にはあるんです)で書くと「København」。日本語ぺらぺらのデンマーク人によると「Køben」は「買う」、「havn」は「港」みたいな意味だそうで商人の町というわけですね。発音は「コブンハー」みたいな感じで英語とは全然違います。

 コペンハーゲンはどんな感じかというと、とにかく美しい町です。市の中心部は古い街並みが残されており、味気ないビルに慣れている日本人としてはとにかく刺激的です。町の大きさはとてもコンパクトで、市街地の端から端まででも自転車で1時間くらいだと思います。そうそう、デンマークは自転車の国です。自転車専用道が整備されており。日本でいうと歩道が二つ並んでるみたいな感じです。初めて来た人は、自転車の波に圧倒されます。デンマークは国全体が限りなく平地なので目白台周辺のように電動自転車でないと死んでしまうということはありません。個人的に大好きなのは、とにかく空が広い点です。高いビルがほとんどなく、だいたい五階建くらいなので視界を遮るものがありません。建物やモニュメントが空をキャンバスにしてそびえるので本当に美しいです。

 僕が住んでいるのは少し郊外なのですが、市の中心部から二十分こいだだけで草原が広がってたりします。人口が少ないので首都のそばでも空き地だったりします。中心部を離れると、今度は超ハイセンスな北欧現代建築が並んでいます。会社のビルも普通のアパートもとにかくガラス張りです。建築科に通う人いわく、北欧の人は、リビングは他人に見られてもいいという発想なんじゃないかと言っていて、個人的には納得しました。どの家にもガラス張りのベランダが備わっていて夏はそこでのんびりするみたいです。まあどれもこれも綺麗なんですが貧弱そうなので日本のような地震大国では一発でやられるでしょう。

コペンハーゲンにはいろんな観光スポットがあるのですが、ずば抜けてヤバイのが「クリスチャニア」です。はい、みなさんこの名前を聞いて綺麗なお城とか想像してませんか?全然違います。クリスチャニアとは、コペンハーゲンの中に作られた、というか勝手に占領されたヒッピーの自治区です。約四十年前に使われなくなった軍用地にヒッピーが住み着き、特に許可を得るでもなく国を作り、生活しています。そこらじゅうスプレーペイントだらけで家は自作。今やコペンハーゲンでも指折りの観光地です。 

 なにがやばいって普通に大麻を売ってます。もちろん違法です。でも、なんか「クリスチャニアなら大丈夫っしょ!」みたいな空気をみんなが醸しているので警察も取り締まらないそうです。そんなに言うなら写真載せろや!と思うかもしれませんが、なんとクリスチャニア内は写真撮影禁止!大麻売ったり吸ったりするのを取られたら警察も動かざるを得ませんからね。個人的に面白いのは観光客みんながそのルールを守っているところ。こんなに写真を撮りたくなるところ他にないのですが、みんなルール守ってます。

 交通機関の話をすると、市内に地下鉄が2路線走ってます。高いですが自動無人運転なので24時間運転してます。他にも、近郊電車と呼ばれる路線もあり、これに乗れば三十分くらいでスウェーデンのマルメという都市に行けます。スウェーデンは本当に近くて、天気がいいと僕の部屋からも普通にみえます。そうそう、コペンハーゲンで困ることといえば天気。一時間前まで晴天だったのに急に雨が降り、すぐ止むみたいなことは当たり前で基本的に一日一回は雨が降ります。天気予報はあてになりません。そんな感じなので、デンマーク人は特に傘を持ち歩くわけでもなく普通に濡れたまま活動してます。さすがにやばいなって時はみんな雨宿りしてます。これはデンマークの国土のほとんどが平地なので雨雲を遮るものがないために起きるらしいです。

 肝心な話をするのを忘れてました。デンマークのなにが一番すごいって、物価です。基本的には日本の2倍です。五百mlの水でも三百円以上します。自販機でコーラを買えば五百円です。なんてったって消費税二十五%ですからね。日本なんてかわいいもんです。そのかわり(?)お酒と豚肉は安いです。軽減税率(商品によって税率をかえること)は実施してないのですが、酒と豚肉はデンマークでたくさん生産されるので安いです。高い消費税にも関わらずビールは日本と同じかちょっと安いくらいでしょうか。食事は、そんなに充実してないです(笑)。もちろんお金を払えば美味しいものが食べられますが、日本のラーメンや牛丼みたいに安くて美味しいものはほとんどないです。僕はというと毎日武道家のラーメンを思って枕を濡らしています。

 当たり前ですが、デンマーク人はデンマーク語で生活しています。スーパーにある商品とかは基本的にデンマーク語で表記されています。なので、「生クリームを買ったつもりが牛乳だった!」とか文字だけ書かれて全く何かわからない缶詰があるみたいなことはしばしば起こります。それは、英語圏以外の国に留学する醍醐味かもしれません。そんなんじゃ生活できない!と思うかもしれませんが、驚くべきことにデンマーク人のほとんどが英語をしゃべれます。大学の教授だけでなくスーパーの店員さんから工事してるそこらへんのおっちゃんまでみんなぺらぺらです。なのでほとんど困ることはないです。

 そんな感じでだらだらデンマークについて書いてきましたが、次回はこっちでの学生生活について書こうと思います。そしてガンガン旅行に行く予定なのでそのことも書いていこうと思います。九月二十九日からはミュンヘン、十一月にはアイスランド、十二月にはハンブルク、フィンランドに行くのでお楽しみに。新編集長によって打ち切りされないことを祈るばかりです。この文章を読まれるのが騎馬戦の前か後かはわかりませんが、悔いのないように和敬生活をお過ごし下さい。あ、皆さんぜひコペンハーゲンにいらしてください。一人や二人なら泊められますよ〜(といっても誰もこないんだろうな)。

#第3巻

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